嚥下スクリーニング検査は摂食嚥下の臨床場面でよく用いられる検査です。嚥下スクリーニング検査にはそれぞれ検査の特性があり、検査の特性を理解した上で実施し、判断していくことが必要となります。今回の記事では、当院の取り組み内容と、嚥下スクリーニング検査の特徴について紹介していきます。
嚥下障害のスクリーニングとは?
1)嚥下障害が疑われる患者、嚥下障害のリスクの高い患者をいち早く見つけることで、その後の詳細な評価と病態把握へつなげるもの。
2)専用の機器や設備を必要とせず、場所を選ばずに嚥下機能を簡便に評価できる簡易検査
3)被験者に対する侵襲性が少ない
当院で嚥下スクリーニング検査を行う目的
1)対象者に嚥下機能の低下があるかを確認する
2)嚥下造影検査など詳細な診断検査が必要を確認する
3)嚥下機能の低下に対して特別な配慮が必要かを確認する
(特別な配慮:トロミ対応や姿勢調整など)
当院で実施する嚥下スクリーニング検査
※当院では、入院初日に嚥下スクリーニングを実施し、患者の嚥下状態を確認しています。
1)飲水検査
①改訂水飲みテスト(Modified Water Swallowing Test:MWST)
②30ml飲水検査(30ml Water Swallowing Test)
③100ml飲水検査(100ml Water Swallowing Test)
2)食物を用いた検査
フードテスト(Food Test:FT)
3)食物を用いない検査
反復唾液嚥下テスト(Repetitive Saliva Swallowing Test:RSST)
4)不顕性誤嚥リスクの検査
簡易咳テスト(Simplified cough test)
スクリーニング検査の方法と特徴
| 検査法 | 方法 | 判定 | 感度 | 特異度 | |
| 飲 水 評価 | MWST | 冷水 3 mL 5 段階(1~5 点)評価 | 4点以上が正常 ムセ,湿性なし | 0.80~0.98 | 0.40~0.69 |
| 30mL | 30 mL のコップ飲み 5段階評価 | 5 秒以内に飲水し ムセ無しで正常範囲 | 0.72 | 0.67 | |
| 100mL | 90~100 mL コップ飲み | 飲水速度10秒以内 (10 ml/秒)以上で正常 | 0.76~0.97 | 0.59~0.92 | |
| FT | 4 g のプリン/ゼリー 5 段階(1~5 点)で評価 | 4点以上が正常 ムセ,湿性なし 口腔残留なし | 1.0 | 0.82 | |
| RSST | 30秒間に唾液を嚥下できる回数を測定 | 3回以上で正常 | 0.80~0.98 | 0.40~0.69 | |
| 簡易 咳テスト | 1%濃度のクエン酸生理食塩水溶液をメッシュ式ネブライザから30秒間噴霧し,患者が咳をするまでの秒数を計測 | 30秒間に1回でも咳が あれば,その時点で陰性(正常) | 0.87~0.92 | 0.89~0.94 | |
感度:障害がある患者を 障害有り と正しく判定できる割合
特異度:障害がない患者を 障害無し と正しく判定できる割合
まとめ
嚥下スクリーニング検査は、感度、特異度が示すように、障害の有無を診断できません。そのため複数の検査を組み合わせることでその精度が上がることが分かっています。
当院でも、上記の複数のスクリーニング検査を実施し、嚥下障害の有無、重症度などを予測しています。また、咳テストを併用することで、スクリーニングの限界点である、不顕性誤嚥リスクにも対応できるようにしています。
水飲みテストは簡便に施行可能で、その摂取量を変化させることで多くの情報が得られる検査です。スクリーニング検査で問題が認められた患者さんに対しては、嚥下造影検査や嚥下内視鏡検査を実施し、正確な嚥下状態の把握を行い、嚥下機能に応じた食事形態の選定や、間接嚥下訓練の選択を行います。
参考文献)
摂食嚥下障害の評価 2019 日本摂食嚥下リハビリテーション学会 医療検討委員会









