【自助具とは】
身体が不自由な人が日常生活をより便利に、より簡単にできるように工夫された道具です。すなわち、動作に時間がかかったり、人に助けてもらっていた身の回り動作を、自助具を使う事で、できるだけ楽に自立した生活ができるよう、工夫や改良が加えられた「生活を補助する道具」のことを指します。体が不自由な方の生活に密着した道具なので、容易に取り扱える大きさで、単純な操作で利用できるように配慮されています。
当院には様々な自助具があり、今回はその中から食事に関する自助具(箸とスプーン・フォーク)、整容に関する自助具(ヘアブラシ・爪切り)をご紹介します。
【食事に関する自助具について】
≪箸≫
〇クリップ付き箸
特徴:クリップが付いているため箸先が合いやすい
〇ピンセット箸
特徴:バネが付いているため軽い力でつまみやすい
〇箸ぞうくん
特徴:指を乗せるように持つため軽い力でつまみやすい
≪スプーン・フォーク≫
〇曲げられる太柄スプーンとフォーク
特徴:柄が曲がるためすくいやすく、柄が太いため持ちやすい
〇ウィルスプーン・フォーク
特徴:熱を加えることで持ち手の形状を変えられるため手にフィットしやすい
患者様の病態や身体症状によって使いやすい自助具は異なります。当院では患者様に自助具を提案するときに以下のことに注意しています。
・スプーンやフォークの持ち手を握るのか、手にはめるのか、固定するのか
・食べ物をすくいやすいか
・口に運ぶ時にこぼしにくいか
・患者様に適した大きさ、重さか
・使う人に合った加工、調整がされているか
・口に入る部分は安全な材料が使われているか
箸やスプーン以外にもすくいやすいように考えられたお皿などもある為、これからも少しずつご紹介していきます。
【整容に関する自助具について】
〇長柄ブラシ
特徴:肩や肘の可動域制限により、頭部まで手が届かない時に髪を梳かしやすい。グリップが太いため握りやすく、ブラシの首に角度が付いているため頭に当たりやすいなどの工夫が施されています。
〇らくらく台付き爪切り
特徴:関節リウマチや筋力低下により爪切りを上手く持てないときに使いやすい。爪切りが台座に固定されており、反対の手で上から押さえるようにして使う。
【まとめ】
患者様の運動麻痺の程度や筋力、関節可動域の柔軟性などによって使いやすい自助具は変わってきます。また、使用する場面も食事、整容、更衣、調理、掃除、趣味活動など様々な応用動作場面で使われるため、より個別性が求められ、人によって大きさや、形、重さなど、異なる場合が多くみられます。当院では、リハビリテーションの専門職である作業療法士が患者様の状態をくまなく評価することで最も適切な自助具を提案できるように努力しております。患者様に自助具を提案する際に、特に以下の3点を重要に評価しています。
・患者様の状態に適した大きさ、重さか
・使う人に合った加工、調整がされているか(調整が必要なら施すことも検討)
・握る部分は安全な材料が使われているか(安全性の担保)
当院には、今回ご紹介したもの以外にも様々な自助具があるため、これからも少しずつご紹介していきます。リハビリ専門職が適切な道具を提供させていただくことで、患者様により快適な日常生活を送っていただけるように努めてまいります。