自宅でできる嚥下トレーニング 吹き戻しを使って

前回、自宅でできる嚥下トレーニングとして頭部挙上訓練と嚥下おでこ体操を紹介しましたが、それ以外にも簡単にできるトレーニングは多く存在します。今回はその中から、吹き戻しを使用した自宅でできるトレーニングを紹介します。

嚥下トレーニング

嚥下訓練と吹き戻しについて 

嚥下機能の改善には舌骨上筋群の筋力増強トレーニングが有用だとされていますが、近年、頭部挙上訓練やメンデルソン手技などの代表的なトレーニングの他に、呼気抵抗負荷訓練(Expiratory Muscle Strength Training:EMST)が注目されています。EMSTとは、もともと慢性呼吸器疾患の呼吸筋強化を目的とした訓練ですが、最近では呼吸機能の改善だけでなく嚥下機能に対するトレーニング効果の報告も認められます1)。EMSTは呼気時に専用の器具を使用し抵抗を加える訓練で海外ではよく行われていますが、日本では負荷をかける器具として吹き戻しやペットボトルブローイングがよく使用されています。

 昔からおもちゃとして子供に使用されることの多い吹き戻しですが、実は使い方次第で呼吸機能の維持、発声機能の維持、食物の嚥下機能の維持など様々な効果があるとされています。まず呼吸能力については、吹き戻しを吹くときに圧がかかり、肺活量の向上や呼気の持続時間の延長に繋がります。発声能力については、声量の向上や呼気が持続することで発生の持続時間の延長を見込めます。嚥下機能については、上記でも説明したようにEMSTとして舌骨上筋群の筋力トレーニングや息もれしないように口をすぼめることで口輪筋の筋力トレーニングとしても活用可能です。

当院で使用している吹き戻し

当院で使用している吹き戻しは株式会社ルピナスが製造・販売している「長息生活」です。種類は必要とする呼気圧によって変わり、全部でレベル0~レベル3の4種類あります。レベル0が一番弱く、そこから数字が増すにつれて徐々に強くなります。標準の強さはレベル2の吹き戻しになります。

長息生活 必要呼気圧(cmH2O) 呼気力の目安

レベル0(白) 14±4(1.37kpa) ティッシュペーパーを吹いて揺らす程度
レベル1(ピンク) 23±4(2.25kpa) 日常会話をしっかり話せる程度
レベル2(青) 44±4(4.31kpa) ろうそく1本を吹き消せる程度
レベル3(緑) 60±6(5.88kpa) バースデーケーキなど多数のロウソクを一気に吹き消せる程度

具体的な吹き戻しの使用方法

具体的な訓練方法は長息生活のホームページや吹き戻しを使用した文献等に記載されています。今回は長息生活で推奨している方法を紹介します。

吹き戻しの訓練方法

①大きく腹式呼吸を行い、息を整え、鼻から息を吸います。
②「長息生活」を口にくわえ、一気に吹き伸ばします
③吹き伸ばしたまま5~10秒程度、巻き戻らない程度の最小の呼吸で吹き続けます。

これを朝・昼・夕の1日3セット行い、1セットにつき10~30回程度の進展を目安として練習してください。

本来は1日3セットが目安ですが、その日の状態に合わせて反復する回数やセット数を減らして実施してください。

ペットボトルブローイング

用意するもの:ペットボトル、ストロー

①水を入れたペットボトルにストローを入れます
②大きく息を吸ってストローを吹きブクブクと泡立てます
③泡立てた状態を維持しながら、できるだけ長く吹き続けます。

人によって目標とする秒数は変わりますが、最低でも10秒以上を目指してください。

ペットボトルブローイングの負荷量の調整については今後の記事で紹介します。

吹き戻しは自宅でできる嚥下トレーニング

吹き戻しやブローイングはどちらも呼気抵抗負荷訓練として自宅で行えるトレーニングです。1日短時間でも嚥下トレーニングを習慣づけることで誤嚥の予防になるため、ぜひ行ってみてください。

参考文献

1)福岡ら;呼気抵抗負荷トレーニングによる舌骨上筋群の筋力強化に関する検討、日摂食嚥下リハ会誌 15(2):174-182、2011

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