HHD(ハンドヘルドダイナモメーター)の特徴や活用方法について

今回は、筋力測定機器(HHD:Hand-held dynamo meter)の当院の活用について紹介します。

HHD(ハンドヘルドダイナモメーター)の特長

この機器は、筋力低下を有する患者さんなどの筋力を数値として評価できるものです。
下記3つの特徴があります。

  1. コンパクトサイズでありどこでも測定可能
  2. 測定表示画面の文字も大きく見やすい
  3. 測定用のセンサーが薄く柔らかい素材であり圧が加わっても痛みなく測定可能

HHDの筋力測定の妥当性や信頼性については先行研究で示されています。

HHDの妥当性

他社の筋力測定器(アニマ社製μ-TasMF-01)や、研究用で使用する大型の筋力測定機器(Biodex社製Biadex2AP)で計測された測定値と比較し、高い相関関係があります1)

つまり、当院で採用しているHHDは、研究データとしても使用できるほどの高い信頼度があるといえます。

HHDの信頼性

同じ検査者が日を変えて3日以内に2回測定し、2回の測定に高い相関関係があると言われております2)。つまり、偶発的に生じた測定値ではなくて、筋力の状態が変わらない限り、いつ行っても同じくらいの数値が出るように設計されております。

逆に言うと、訓練により患者さんの筋肉が肥大し、筋力が改善された場合には、その変化をしっかりと把握することができます。

臨床場面では従来から筋力測定に「徒手筋力検査(Manual Muscle Test)」という伝統的な検査が使用されていますが、段階が大きく分けられており、小さな変化をとらえづらい点や、検査者によって評価結果が異なることがあるなどの問題がありました。基準の段階4と5では検査者の抵抗の度合いが一定せず信頼性が欠けることもあります。

一方、HHDは持ち運びが可能であり、場所を選ばず評価できる、高い信頼性や妥当性が研究で示されている、数値で変化を示し患者さんへフィードバックできるなど、リハビリテーションの評価として有用な筋力測定機器だと考えられます。

京都リハビリテーション病院でのHHD活用方法

下肢骨折などの運動器疾患の入院患者様に対して2週間ごとに筋力を評価し、リハビリの効果判定に使用しています。筋力を測定し現状の筋力がどのくらいなのか、前回と変化はあるのか、など患者様にお伝えしています。ご自身の筋力が数値として表れるのでリハビリのモチベーションにつながる、という声もいただいております。

HHDでの評価の一例

膝関節伸展筋力(膝を伸ばす力)の測定肢位

HHD評価一例

このように、測定肢位を毎回一定にすることで、毎回同じ条件で測定することができます。

条件を工夫することでより高い信頼性が得られるため、推奨しております。

下肢筋力値の推移の一例

HHD下肢筋力値の推移の一例

定期的に測定を行うことで、グラフのように骨折側の力の強さが徐々に改善していることが理解できます。このような結果を患者さんにもフィードバックし、リハビリの効果を実感していただこうと考えております。

HHDまとめ

今回は当院で使用している筋力測定機器を紹介しました。今後は自宅でできる筋力トレーニング等も掲載予定です。今後も当院のホームページをご覧いただけると嬉しいです。

【参考文献】

  1. 平澤有里,長谷川輝美,松下和彦:ハンドヘルドダイナモーターによる等尺性膝伸展筋力測定の妥当性 
  2. 山崎祐司,長谷川輝美:固定用ベルトを装着したダイナモメーターによる等尺性膝伸展筋力の測定-検者内再現性の検討