片頭痛について(最近の治療法の進歩)
脳神経リハビリ北大路病院
院長 岡田達也
(片頭痛患者)
皆様新年明けましておめでとうございます。2023年の年頭のご挨拶を申し上げます。脳神経リハビリ北大路病院は、2022年12月1日に開院から満14周年を迎えることができました。
新型コロナウイルス禍の中、これも皆様のご支援ご協力の賜物と深く感謝申し上げます。本年もよろしくお願い申し上げます。
1.片頭痛とは
片頭痛という言葉を聞いたことがある方は、たくさんおられると思います。片頭痛は心臓の拍動にあわせてズキンズキンと痛みます。激しい痛みとともに、嘔気・嘔吐、下痢などの症状を引き起こしたりして、仕事や学業、日常生活に支障を来たすやっかいな頭痛です。
私自身も片頭痛を患っていますが、2021年に新しい予防薬(CGRP関連抗体薬)が開発されて、予防治療がしやすくなってきました。
2.どんな病気か
片頭痛に悩まされている人は非常に多く、日本人の15才以上の8%以上、800万人~900万人が片頭痛に悩んでいると言われています。約80%が女性です。30才代の女性では5人に1人が片頭痛と言われています。片頭痛が起こる頻度は1ヶ月に1~2回のことが多いですが、多い人では週に2回以上起こる人もいます。
一度片頭痛発作が起こると、短くて数時間、長いと3日間くらい、ズキンズキンと心臓の拍動に合わせるような頭痛が続きます。頭の片側のことが多いですが、両側に起こる場合もあります。
痛みは動けない程強いこともあり、頭の位置を変えるだけでも痛みが悪化します。光や音に敏感になり、騒々しいところや明るいところにいられなくなります。嘔気・嘔吐や下痢を伴うこともあります。
3.なぜ起こる?
片頭痛のメカニズムには頭や顔面の知覚をつかさどる三叉神経が関係しているとわかっています。
CGRP(Calcitonin Gene-Related Peptide,カルシトニン遺伝子関連ペプチド)という物質が三叉神経から普段わずかに放出されているのですが、これが過度に放出されると周りの硬膜血管を拡張させ炎症を起こすことで強い頭痛が起きます。これが片頭痛です。
4.急性期治療
片頭痛の急性期治療で使われるのは主に次の2種類です。
①消炎鎮痛剤
市販のセデス、バファリン、ナロンエースなども含めて、以前から使われてきた薬です。血管壁やその周囲の炎症を鎮めて痛みをおさえます。おもに症状が軽い人や発作の頻度が少ない人に使います。
②トリプタン製剤
2000年に承認された薬で、医師の処方箋が必要です。主に拡張してしまった脳の血管を収縮させて正常な太さに戻すとともに、三叉神経から痛みの原因物質が放出されるのをおさえます。おもに症状が重く仕事や日常生活に支障がある人に使います。
①、②ともに頭痛が起きてからすぐに使用しないと効果は殆どありません。
5.予防療法
片頭痛発作が月に10日以上、あるいは生活に支障をきたすような重症の頭痛が月に3日以上ある人では、予防療法が勧められます。
①内服薬
カルシウム拮抗薬、βブロッカー、抗てんかん薬、抗うつ薬など、元々片頭痛の薬ではないものに、片頭痛予防効果があることがわかっており、使用されてきました。但し、毎日継続的に使用しなければならないことや副作用の面で使用しにくいところがありました。
②片頭痛予防の注射薬 (CGRP)
最初に述べたように片頭痛の発症には、三叉神経終末から放出されるCGRP(Calcitonin Gene-Related Peptide,カルシトニン遺伝子関連ペプチド)が関わっています。2021年にCGRPの働きやその受容体の働きを抑える注射薬が保険適応となりました。副作用が少なく、月に1回あるいは3か月に1回の注射で済むことから、片頭痛患者さんにとって朗報と言えます。(私自身も毎月注射しています。)但し、金額が少し高いのが玉にきずです。

脳神経リハビリ北大路病院では上記の様な全ての片頭痛治療が可能となっています。「頭痛くらいで病院にかかるなんて」と考えずに気軽に受診してください。
本年もご指導ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。
2023年 正月
理事長推薦 日本のロック・フォーク・ポップス名盤
第11回 『SONGBOOK』葉加瀬太郎

葉加瀬太郎は大阪府吹田市生まれで、京都堀川音楽高等学校卒業後、東京芸術大学音楽学部器楽学科ヴァイオリン専攻に入学しました。学生時代に結成したバンド『クライズラー&カンパニー』で人気を博し、1996年の解散後はソロとしてデビューして、現在日本のみならず世界的に活躍しているのはご存じの通りです。
昨年2021年はソロデビュー25周年にあたり、8月に記念アルバム『SONGBOOK』がリリースされました。「葉加瀬太郎コンサートツアー2020 FRONTIERS」ツアーメンバー9人でスタジオに入り、「情熱大陸」「エトピリカ」等、ソロデビューから現在に繋がる数々のヒット曲の新録に加え、新曲もレコーディングし、25周年にふさわしい内容となっています。葉加瀬のソロプレイが素晴らしいのはもちろんですが、躍動感あふれるヴァイオリンは、個人的にはアコースティック・アンサンブルやクライズラー&カンパニーのような少人数編成のバンドよりも、壮大な多人数バンド・サウンドの方がマッチしていると思います。『SONGBOOK』はアレンジ的に葉加瀬太郎ミュージックの一つの完成形と言っても過言ではないでしょう。是非バック・バンドの演奏にも耳を傾けていただきたいです。特に注目していただきたいのはドラムの屋敷豪太です。彼もやはり京都ゆかりのミュージシャンであり、綾部市出身です。1988年に渡英後、ソウル・II・ソウル、デペッシュ・モード、ビョーク等、世界的ミュージシャンたちと活動を共にし、1991年には、イギリスの人気ロックバンド、シンプリー・レッドにドラマーとして正式加入して同グループの円熟期に貢献しました。『SONGBOOK』でも派手さはないものの堅実なプレイで葉加瀬を支えています。
京都市立京都堀川音楽高等学校は、日本で唯一の音楽科単独の公立高校だそうです。古い伝統を守るだけでなく、新しい才能を育み世に送り出す懐の深さも京都の魅力と言えるでしょう。
医師・音楽療法士 岡田 純
京都にゆかりの深いアーティストの作品や、そのアーティストに関連のある作品をご紹介しています。前回のツトム・ヤマシタに引き続き、今回も京都市立京都堀川音楽高等学校関連で葉加瀬太郎をご紹介します。