四季報そよかぜ 2021年4月号

新型コロナウイルスワクチンについて

 
脳神経リハビリ北大路病院 理事長 岡田 純
 
 

この文章を書いている3月上旬の時点で、医療従事者に対する新型コロナウイルスに対するワクチンの接種が開始されています。

今後、高齢者(令和3年度中に65歳に達する、昭和32年4月1日以前に生まれた方)、次に高齢者以外で基礎疾患を有する方や高齢者施設等で従事されている方、最後にそれ以外の16歳以上の方の順で接種が予定されていますが、この文章を書いている時点では具体的なスケジュールは発表されていません。

ワクチンを接種することで重症化を防げるようになれば、それだけで非常に大きな価値があります。

このワクチンは、m(メッセンジャー)RNAワクチンという新しい技術を用いたワクチンです。mRNAはタンパク質を生成するために使用する情報を運ぶ設計図で、新型コロナウイルスのスパイク蛋白、つまりウイルス表面の突起の部分を作る指示を伝える役割を果たしています。ワクチンが接種されると、mRNAはマクロファージという免疫細胞に取り込まれ、スパイク蛋白を作るように指示します。
 
その後、スパイク蛋白がマクロファージの表面に現れると、このスパイク蛋白に対する抗体が産生される等、新型コロナウイルスに対する免疫を持つことになります。生きたウイルスはワクチンの中には入っておらず、また遺伝情報を体内に接種すると言っても、それによって人間の遺伝子の情報に変化が加わるわけではありません。
 
新型コロナウイルスに対するワクチンは数万人規模の大規模な臨床研究によって、90%以上という非常に高い効果が示されています。これは「ワクチンを接種しなかった人の発症率よりも接種した人の発症率のほうが90%少なかった」という意味であり、言い換えると「発症リスクが、10分の1になる」とも言えます。
 
インフルエンザのワクチンが一般的には50%程度の予防効果と言われているので、非常に高い有効率と言えます。また、ワクチンの効果には、発症を防ぐ効果とは別に重症化を防ぐ効果も期待されます。発症を防ぐことはできなくても、ワクチンを接種することで重症化を防げるようになれば、それだけで非常に大きな価値があります。
 

このワクチンは、m(メッセンジャー)RNAワクチンという新しい技術を用いたワクチンです。mRNAはタンパク質を生成するために使用する情報を運ぶ設計図で、新型コロナウイルスのスパイク蛋白、つまりウイルス表面の突起の部分を作る指示を伝える役割を果たしています。

ワクチンが接種されると、mRNAはマクロファージという免疫細胞に取り込まれ、スパイク蛋白を作るように指示します。 その後、スパイク蛋白がマクロファージの表面に現れると、このスパイク蛋白に対する抗体が産生される等、新型コロナウイルスに対する免疫を持つことになります。

生きたウイルスはワクチンの中には入っておらず、また遺伝情報を体内に接種すると言っても、それによって人間の遺伝子の情報に変化が加わるわけではありません。 新型コロナウイルスに対するワクチンは数万人規模の大規模な臨床研究によって、90%以上という非常に高い効果が示されています。これは「ワクチンを接種しなかった人の発症率よりも接種した人の発症率のほうが90%少なかった」という意味であり、言い換えると「発症リスクが、10分の1になる」とも言えます。

インフルエンザのワクチンが一般的には50%程度の予防効果と言われているので、非常に高い有効率と言えます。また、ワクチンの効果には、発症を防ぐ効果とは別に重症化を防ぐ効果も期待されます。発症を防ぐことはできなくても、ワクチンを接種することで重症化を防げるようになれば、それだけで非常に大きな価値があります。

ワクチン接種における安全性について 

安全性はどうでしょうか?mRNAワクチンは全く新しいタイプのワクチンなので、一部マスコミを中心に「安全性が確かめられていない」と不安を煽る人もいます。
 
しかし、すでに海外で何千万人という人に接種が行われ、副反応で死亡したとされる事例は報告されていません。もちろん、どんなワクチンであっても100%安全なものはありません。軽微なものも含めると多くの人になんらかの副反応は起こるでしょう。
 
最も頻度が高い副反応は注射した部位の痛みで、どちらのワクチンも6〜9割くらいの人で痛みを訴え、特に接種後12~24時間は痛みが顕著なようです。またワクチンを接種した部位はしばらく赤く腫れ、しこりができることがあります。だるさや頭痛も比較的一般的な副反応のようですが、高熱が出ることは多くはないようです。
 
これらの副反応は一般的に数日以内に消失し、解熱薬にも反応します。一般的に、副反応は高齢者よりも若年者の方が多く、2回目の接種では1回目よりも多くの副反応が起こるようです。                                      
 
最も懸念される副反応はアナフィラキシーなどのアレルギー反応です。アメリカやイギリスで接種が始まってからアナフィラキシーの事例が報告されています。アメリカで190万人に1回目の接種をしたところ21人にアナフィラキシー反応が起こった、とのことです(その後、後遺症を残すことなく全員快復されています)。
 
つまりおよそ10万人に1人にアナフィラキシー反応が起こる計算になります。71%の人で接種15分以内、86%の人で接種30分以内にアナフィラキシー反応が出現しており、ワクチン接種後30分程度は慎重に様子を見るようにしましょう。
 
インフルエンザワクチンなど一般的なワクチンのアナフィラキシー反応の頻度は100万人に1人程度とされていますので、それと比べると頻度は高いと言えるでしょう。
 
しかし、例えばペニシリンという抗生物質では5000人に1人くらいの頻度で重度のアレルギー反応が起こるのと比べると、決して頻度が高いわけではありません。ペニシリンのアレルギー反応はよく知られていることからニュースになることはありません。一方、新型コロナワクチンは世界中で注目されているため、マスコミも大きくセンセーショナルに報道しがちですが、冷静にリスクを評価する必要があります。
 

ワクチン接種は必要なの?

ワクチン接種はもちろん「義務」ではなく、必ず接種をしなければならないわけではありません。ワクチン接種をするかどうかは個人個人の判断に委ねられることになります。特にアレルギーをお持ちの方は、接種するかどうか医師とご相談の上ご判断ください。ただ、私自身は、90%以上の有効率で、アナフィラキシー等の重篤な副反応が10万人に1人という頻度のワクチンは、非常に優秀であると考えますので、接種をお勧めいたします。

 

「発信(進)!!」

看護部長代理・外来師長 車田みゆき
 
私の自己紹介になりますが看護部長代理と外来師長を兼務しています。
北大路病院の前身(旧石野病院)から勤務し、気が付けば20年以上経っていました。  
 
仕事をやりたいという思いから保育園に子供を預け勤務させていただきましたが、周囲の協力があって仕事と家庭の両立が成り立ち子供も自立する年齢になりました。
 
改めて20年を振り返ると病院の移転・電子カルテ導入時のことは最も記憶に残る思い出になりました。現在、パソコンは使用できて当たり前の時代ですが、苦手な私にとってレクチャーがあってもわからないと直ぐスタッフに尋ねたので周りも大変だったと思います。電子カルテ導入後、予約制と順番性の診療科に分け外来をやっていますが、当初は予約診察ということに患者さんも戸惑い気味でした。
 
電子機器で管理をされた現在ですが、予約用紙を手渡すときにプリンターから出てきた予約用紙を無言で手渡すのではなく「〇〇さん、次の予約は〇月〇日〇時ですね。お待ちしております。お大事に。」と、いう一声を患者さんとのコミュニケーションの手段として大切にしています。
 
昨年、当院の情報発信に関わるチームを立ち上げ、ホームページをリニューアルしています。ホームページを見て…と受診や入院、就職されて来られる方も増えてきており、情報発信のすごさを感じました。
 
また、発信という意味も込めホームページに外来の感染対策の様子など安心して受診していただけるよう写真付きで載せています。昨年末には外来受診の満足度について外来アンケートを行い評価しましたが、感想の中に「コロナ禍ですが、いっしょに頑張りましょう」など励まされる内容がありうれしく思いました。
 
移転し12年が経ちました。基本理念にある「常に地域社会のニーズに耳を傾け地域に寄り添う」こんな時期だからこそホームページや色々な情報発信のツールを使い、当院から地域社会のニーズにあった様々な情報を発信し、お伝えしていきたいと思います。

 

理事長推薦 日本のロック・フォーク・ポップス名盤
第4回 『UNIVERSITY STREET 』竹内まりや
きたおじさん
「日本のロック・フォーク・ポップス名盤」と題して、京都にゆかりの深いアーティストの作品や、そのアーティストに関連のある作品をご紹介しています。
今回も加藤和彦絡みで、竹内まりやのセカンド・アルバム
『UNIVERSITY STREET』をご紹介します。

 

内まりやは、慶応大学在学中の1978年に「戻っておいで・私の時間」でデビューしました。作曲は加藤和彦、作詞は77年に加藤と結婚していた安井かずみです。この曲は、オリコン・チャート最高位84位とあまりヒットしませんでしたが、続くセカンド・シングル「ドリーム・オブ・ユー〜レモンライムの青い風〜」も加藤が作曲を手掛け、30位までラック・アップしました。
 
さらに加藤・安井の黄金コンビの手による4枚目のシングル「不思議なピーチパイ」はオリコン3位という大ヒットとなり、竹内はトップ・シンガーの地位を確立しました。その後、山下達郎との結婚により、「シンガーソング専業主婦」となり、メディアへの露出はほとんどなくなりましたが、音楽活動は精力的にこなしており、紅白歌合戦にも出場し、現在も女性ポップス歌手の大御所として活躍していることはご存じの通りです。
 
一般的には独身時代の竹内の代表作は、「SEPTEMBER」と「不思議なピーチパイ」の2大ヒット曲が収録され、オリコン1位を獲得したサード・アルバム『LOVE SONGS』ということになると思いますが、私の推しはセカンド・アルバム『UNIVERSITY STREET』です。加藤の作品「ドリーム・オブ・ユー〜レモンライムの青い風〜」が収録されています。モノトーンでまとめられ落ち着いたジャケットの『LOVE SONGS』は、しっとりした大人向けの曲を中心に構成されています。
 
一方『UNIVERSITY STREET』は、ちょっとベタですが、
Tシャツ姿の竹内がテニスラケットを手にキャンパス内を歩くポップなイメージのジャケットで、内容も間もなく大学を去る女子大生の心情を歌った曲を中心に、一種のコンセプトアルバムになっています。
 
現在の竹内が『LOVE SONGS』と同じ方向性で作品を作ることは可能でしょうが、『UNIVERSITY STREET』と同系統の作品を作ることは不可能かと思います。そういった意味でも、『UNIVERSITY STREET』は貴重な一枚です。当時高校生であった筆者は、『UNIVERSITY STREET』を聴いて、間もなく訪れるキャンパスライフを想像し胸を躍らせていました。
 
医師・音楽療法士 岡田 純

お知らせ

 

特別養護老人ホーム

「久御山しみずの里」が2021年3月末に
開設いたしました!!
全室個室・ユニット型。

特別養護老人ホーム110名、
ショートステイ10名、
デイサービス定員30名。
入居者・利用者募集中です。

所在地:京都府久世郡久御山町佐山西ノ口146-1
お問合せ: ☎ 0774-41-1081  fax 0774-41-6161 
 

 

「徒然なるままに。」

地域連携室 室長 藤井義万
 
新型コロナウイルスの感染拡大で、地域連携室・相談室でも入院の受入れや退院の支援で、対話制限、面会制限、外出制限と「制限」だらけの対応を余儀なくされて、患者さんやご家族の皆さんにも多くのご不便をおかけしています。今しばらくは工夫をしながら、少しでも良い対応ができるよう努力したいと思います。一方で、コロナ感染の拡大であらためてわかったこともありました。
今回はそのことを少しお伝えしたいと思います。
 

「国民皆保険制度」ってすごい!

 
コロナ感染危機で、医療関係者に感謝しようという報道が各所でなされました。これは多くの方がこうした非常事態の時にも、誰でも、どこでも必要な医療が受けられることが、本当に大切であることを再確認した表れではないでしょうか。例えば、日本は欧米諸国と比べて「かかりつけ医」の制度化が遅れているといわれています。
 
しかし、今回のコロナ感染危機ではその制度が充実している欧米諸国で、大きな医療危機(一部では医療崩壊)が起きました。こうした国は軽症の場合、自由に医療機関を受診できません。日本では、熱が出たりすれば自由に医療機関に受診でき、早期に対応もできます。
 
もうひとつ、欧州のある国々では八十歳以上の高齢者や、それ以下の年齢でも重度の合併症があれば、病院の集中治療室に入れないとした規定を設けていると聞きます。(国民の合意がある)日本では、年齢制限や個人の病状、もちろん経済的な格差も関係なく必要があれば集中治療室に入れるし、標準とされる医療はしっかり受けることができます。
 
これらは日本の医療制度の基本である、「いつでも、どこでも、誰でも」保険証があれば平等に同じ医療が受けられる「国民皆保険制度」があってこそで、社会的な国民的合意だと思います。こうした点が欧米と比べて日本のコロナ感染者が少ない要因の一つではないかともわれているので、あらためて日本の「国民皆保険制度」ってすごいな!と感じた次第です。
 

最後の砦

 
「国民皆保険制度」は誕生して今年で六十年になります。
医療経済学者の二木立氏は、国民皆保険制度を「最後の砦」と呼び、
「万が一、国民皆保険制度がなくなったら、社会の底が抜けてしまいかねません。(中略)今の日本社会にとって医療の枠を超えて大事なものなんですよ」
とその重要性を強調しています。
 
「国民皆保険制度」は、私たちの日常生活の中に当たり前のように根付いています。これがコロナ感染危機の対応の最も基本になっているのは間違いないことで、私たち医療に携わるものとして、皆さんのこの財産を守りながら医療提供をしていくことの大切さを痛感しています。

 

当院では在宅療養あんしん病院登録システムの加盟病院となっております。
詳しくは、右記QRコードを読み取って頂くか地域連携室までご連絡下さい。        
  
  075-781-5112(地域連携室直通)