四季報そよかぜ 2013年4月号

慢性胃炎の患者さんに対するピロリ菌除菌療法が保険適応となりました

脳神経リハビリ北大路病院  岡田 純(消化器内視鏡専門医)

ピロリ菌は正式にはヘリコバクター・ピロリといいますが、ここでは簡単にピロリ菌とします。胃の内部はとても強い酸性になっているので、昔は無菌状態と考えられていました。

ところが、1983年にピロリ菌が発見され、その後いろいろな病気の原因になっていることがわかってきました。胃炎や胃潰瘍や十二指腸潰瘍、さらに恐ろしいことに、胃の悪性リンパ腫や胃癌といった悪性疾患との因果関係も証明されています。

ピロリ菌を持っている人は持っていない人より、胃癌の発生率が6~22倍高いというデータもあります。

感染経路については、はっきりと解っていませんが、経口感染と考えられています。感染率は発展途上国では7~8割、日本では5割(なんと50歳以上では8割)ぐらいといわれており、衛生状態と関係があると言われています。

古くから胃潰瘍あるいは十二指腸潰瘍の患者さんで、ピロリ菌がいた場合、除菌をした方が治りも早く、再発の防止にもなると解っていたので、胃潰瘍あるいは十二指腸潰瘍の患者さんに対する除菌治療は2000年に保険適応となりました。

さらに、2010年にはMALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、早期胃癌に対する内視鏡的治療後の患者さんに対しても保険適応が拡大されました。

ピロリ菌の除菌方法は簡単で、3種類の薬を1週間飲んでもらうだけです。治療中の副作用としては、下痢、アレルギー、肝機能障害、味覚異常などがあります。また、除菌後の副作用として逆流性食道炎や十二指腸びらんが起こることもあります。

除菌治療をした場合、その約3カ月後に除菌できたかどうか判定をします。除菌の成功率は7~8割といわれています。除菌に成功すれば、現在の日本の衛生状態では再発の心配はほとんどないと言われています。

除菌に失敗した場合は、もう一度保険治療で薬の組み合わせを変えて再除菌することができます。この場合も除菌の成功率は7~8割といわれています。

一方、かなり以前から、慢性胃炎も原因のほとんどがピロリ菌の感染であると考えられてきました。しかし、慢性胃炎に対してのピロリ菌除菌は保険適応になっていませんでした。ピロリ菌を除菌して、慢性胃炎が改善するというデータが少なかったためです。

しかし、ピロリ菌を除菌して、慢性胃炎が改善することが証明されたため、ようやく、2013年2月にピロリ菌に起因した慢性胃炎の患者さんに対してもピロリ菌除菌療法が保険適応となったのです。

ピロリ菌陽性の慢性胃炎の方は、ピロリ菌陰性の方に比べて胃癌のリスクが高くなると考えられていますので、この保険適応は胃癌発生率の低下にもつながると期待されています。

胃の調子の悪い方は是非内視鏡検査(胃カメラ)検査を受けていただき、ピロリ菌陽性の慢性胃炎であると診断された場合は、除菌治療を受けていただくようお勧めいたします。

 

リハビリだより

はじめまして、作業療法士の笹岡です。

私事ではありますが、先日利き手の小指を脱臼しまして、右手が使いにくい状態になってしまいました。リハビリテーションをおこなっていく中で、非利き手使用を練習する事はあるのですが、いざ自分が行ってみると右手用のものが多く、生活し辛さを思い知らされました。

なかなかできる体験ではないので、このマイナスの体験をリハビリテーションのプログラムを立案していく中で参考にしていければと思います。

プログラムの立案といえば、私たちリハビリテーションスタッフはリハビリを行う際にプログラムの立案を行います。患者様の身体状況や症状などに合わせてリハビリのメニューや目標を立てていくのですが、立てていく中で重要な情報として「入院前の生活状況」というものがあります。

生活状況は十人十色であり、様々な要因が重なり合って生活が成り立っています。そういった情報は主に本人様やご家族様からお聞きすることがほとんどなのですが、非常にリハビリプログラムに有効活用しています。

リハビリプログラムの一例

リハビリ、特に作業療法では、患者様が以前におこなっていた趣味や、習慣をリハビリに応用してアクティビティとして提供する場合があります。目的は、手先の細かい運動や認知機能訓練など様々です。

実際に患者様がリハビリ作品として、折り紙で作成したくす玉と、簡単手織り機を利用したハンカチが出来上がりました。くす玉は、当院でも人気のアクティビティであり(患者様が作っているのを見て「作ってみたい」とおっしゃられたりするためアクティビティにはその時期によって流行があります。)、簡単にできて、かつ、柄や色を変えることできれいに作成することができます。

簡単手織り機のハンカチは、元から糸に模様が書いてあり、順序よく織っていくことできれいな模様になるという仕組みになっています。ここで紹介したものは一部ですが、他にもぬり絵や貼り絵などなどをプログラムに取り入れてリハビリを実施しています。

今までおこなっていた習慣や趣味を実施していくことや、新しいアクティビティにチャレンジしていくことは脳の活性化にも有効であるといわれています。楽しみを含めたリハビリテーションを提供することにより、患者様の心身機能の向上がより促進されるような医療を実践していきたいと思います。

 

「休日」

看護師 永福 幸代

やっと暖かい日が訪れてきましたね。桜の季節がくると思うと気持ちがパッと明るくなるものです。

とはいえ、京都の冬は底冷えで、本当に辛いものですね。気分もめいってくるというか…冬は特に外に出るのが億劫になってしまい、休みの日でも室内で過ごす事がめっきり増えた気がします。

私の休日の過ごし方

最近の休日のおきまりコースは、映画館→カラオケです。映画が好きではありますが、特に私は映画館の空間が好きで、ポップコーンと飲み物を買って、時には3Dメガネをして、大きな画面にくぎづけになります。内容が好きなものであれば、本当に集中します。時には寝てしまう事もありますが。

平日は、席が空いている事が多いのでポップコーンを食べるバリバリとした音も迷惑にならないかと…(笑)

映画館のポイントが貯まっていくのもちょっとした喜びで、6本観ると1本を無料で見ることができるんです。昨年は、2本も無料で…得した気分になりました。

映画館の後は、カラオケで大声出して気分転換です。歌は上手ではないので相手に迷惑ですが、それに懐かしい歌ばかりで、まぁそれぞれが気持ちよければよいかと思っております。

と、こんな風に最近は休日を過ごし、自分をリセットしている気がします。

みなさんも休日は色々とお過ごしで、気分転換の仕方も違うと思いますが、どんな過ごし方でも、それぞれ自分にとって、よい時間になるといいですね。

私としては、春は桜の力を借りて、外に出て気分転換したいものです。